エッセイ・NO.14 「平成29年 年賀状」 (2017.1.1)


 
     豊後梅      松の花芽    ブルーベリー初収穫   千両・万両 実盛り

  謹 賀 新 年     2017(平成29)年 元旦

 「畑にはなんでも植えてあります。ナス、キュウリ、カボチャ、スイカ…。そのとき体が欲
 しがるものを好きなように食べてきました。質素なものばかり食べていたのが長寿につな
 がったのだとしたら、それはお金がなかったからできたのです。貧乏はありがたいことで
 す。」

 南木佳士著『阿弥陀堂だより』の中の、96歳の堂守・おうめさんの言葉です。おうめさんと
変わらないような生活をしていますが、「貧乏はありがたい」という心境にはまだまだ到達で
きません。「千両・万両あれば寺が建つ」などと思いながら庭木を眺める今日この頃です。

 宗教や仏教を学びだして、はじめて感銘を受けた言葉は、道元禅師の「学道の人は最も
貧なるべし」でした。以来、約50年、肝に銘じたこの教えが私の中にあります。ただ、我が
浄土真宗の親鸞聖人の教えは微妙で深淵なところがあるので、筆作りをしながら色々と考
えていますが、どう押さえてよいか、正直なところ、いまだに心に収まりのつかぬままです。

 ともあれ、頭の中に考えることや雑念は沢山あっても、筆作りの手だけは、どうやら迷う
ことなくスムー ズに動くようにはなりました。
 
  皆さまにとりまして、幸多き年でありますように。   御堂順暁

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